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わだ小児科クリニック

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侵襲性髄膜炎菌感染症について

2017/04
侵襲性髄膜炎菌感染症について

髄膜炎菌感染症は日本では珍しい病気ですが、世界的には毎年30万が発病し3万人が死亡していると考えられています。重篤な侵襲性髄膜炎菌感染症では7〜19%が死亡し、回復しても10〜20%に難聴、神経障害、四肢切断などの後遺症が残るといわれています。








 平成29年2月神戸市において4歳の幼児が侵襲性髄膜炎菌感染症になったと報告されました。侵襲性髄膜炎菌感染症は日本では年間7〜20人が報告されるだけですが、世界的にはアフリカ中部に多発しており、先進国であるアメリカでも年間1000人程度の発症が報告されています。

決して発展途上国だけの病気ではなく、先進国でも流行を起こすことがあります。日本でも平成23年に宮崎の高校の寮内で集団発生し、1名が死亡しています。平成27年には山口で開催された世界スカウトジャンボリーでも集団発症が認められています。



 髄膜炎菌はグラム陰性双球菌で、鼻咽頭に存在し日本では健康な人にも0.4%程度常在していると考えられています。しかし、欧米の調査では髄膜炎菌保有率は5〜20%とされ、集団生活をしている学校や軍隊では20〜40%にもなるといわれています。髄膜炎菌は意外と常在性に身近にあると考えられます。感染は飛沫や分泌物によりヒトからヒトに感染します。髄膜炎菌の感染には莢膜多糖体が関連し、13の血清群が判っています。

このうち血清群A、B、C、Y、Wの5種類が主要な髄膜炎菌感染の原因菌です。Aはアフリカに多く、BとCは世界中で散発的に発生、Yは南北アメリカやヨーロッパにみられ、Wはアフリカや中東にみられます。

日本では最近はYが最も多く、その後C、B、Wの順にみられています。ちなみに神戸市の幼児はC群と判明しています。




 髄膜炎菌感染症は血液や髄液に菌が侵入すると、重篤な侵襲性髄膜炎菌感染症になってしまいます。侵襲性髄膜炎菌感染症には、髄膜炎、菌血症、敗血症、髄膜脳炎、副腎出血やショック状態になるWaterhouse-Friedrichsen症候群などがあります。

潜伏期間は2-10日(平均4日)、発症は突発的で高熱、悪寒、頭痛、嘔気、ケイレン、意識障害などがみられ、特徴的には点状出血が眼球結膜、口腔粘膜、皮膚にみられ、体幹や下肢には出血斑、紫斑が出現します。症状の進行は早く12時間以内に特徴的な症状が認められ、1〜2日で症状は進行します。

重篤な患者では適切な治療をしても全体の7〜19%が死亡したと報告されています。また、回復しても10〜20%に難聴、神経障害、四肢切断などの後遺症が残るといわれています。






 発症年齢は乳幼児(0〜4歳)と若年者(15〜24歳)に発症のピークがあり、特に共同生活をする10代の若年者のリスクが高いといわれています。髄膜炎菌感染が確認された場合は、流行の防止のため24時間以内に接触者への予防投与が必要です。潜伏期間を考慮して、過去7日以内に接触した全員が対象になります。通常はリファンピシンを2日間投与しますが、セフトリアキソンやシプロフロキサシンが使われることもあります。




 現在、任意接種ですが髄膜炎菌ワクチンを接種することが出来ます。日本では4価結合体ワクチンが接種出来ます。髄膜炎菌血清群A、C、Y、Wの抗原とジフテリアトキソイドが結合した結合体ワクチンです。世界ではすでに55の国や地域で接種され、効果が認められています。

 侵襲性髄膜炎菌感染症は日本では稀な病気ですが、発症するとその進行は早く適切な治療をしても重篤な結果になることが少なくありません。診断はなかなか困難ですから、高熱や重篤感があり、特徴的な点状出血、出血斑、紫斑が認められる場合はすぐに医療機関を受診して下さい。



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